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EU経済
EU経済 : 英ノーザンロック銀行国有化とサブプライム問題まとめ
投稿者 : hiropon 投稿日時: 2008-09-21 20:46:52 (1440 ヒット)

ノーザンロック銀行を調べて分かった事は、今考えると2007年9月のノーザンロック銀行が国有化された時点において、既に世界の金融市場が混乱に陥る事の予測は可能だったという事です。知識と情報料でニュースに敏感に反応できる金融機関などは、この頃から「手仕舞い」を始めて損害を最小限に抑える努力をしていたでしょう。しかし、一般投資家は何が起きているのか理解出来ずに損失を被ることになりました。

ノーザンロック銀行は、ニューカッスルに拠点を置いて、住宅ローンの貸付を中心事業として急成長してきた銀行でした。2006年12月31日時点において総資産1,010億ポンドとなっており、これは英国第5位の住宅金融銀行でした。しかし、アメリカのサブプラムローン問題は、ノーザンロック銀行の経営を直撃しました。ノーザンロック銀行が発行した住宅ローンを担保にした証券を投資家が誰も買わなくなっていたのです。ノーザンロック銀行は、その急成長したビジネスモデル自体が成立しなくなってしまいました。

ノーザンロック銀行は住宅資金の貸し出しなどの資金調達が困難な状況となり、経営危機に陥りました。9月13日には、イングランド銀行(中央銀行)に融資依頼をしたと報じられて、預金者による取り付け騒ぎが起こってしまいました。このような取り付け騒ぎは、英国では何と140年ぶりに起きたそうです。この取り付け騒ぎによって、僅か数日だけで全預金の10%近い金額が引き出されました。

政府(ダーリング英財務相)は「ノーザンロックの全ての預金は保護される」と表明する事で事態の沈静化を図ろうとしました。9月14日にはノーザンロックに対する救済融資も行われました。アメリカのサブプライムローンの影響によって業績が急速に悪化して資金繰りに行き詰っていたノーザンロック銀行は、既に他の民間銀行に買収されるか、国有化されるか選択肢しか残されていませんでした。

ノーザンロック銀行を国有化した場合には、株式が紙切れになる可能性があり、大株主である2つのヘッジファンドと、その他の株主が猛烈に反発しました。また、ノーザンロック銀行自身も出来れば民間企業での買収を望んでおり、国有化は最後の手段と考えていました。更には、政府自身も「国有化は金融機関のモラル・ハザードにつながる」として民間への売却を最後まで検討しました。誰もが国有化を望んでいない状況ではありましたが、ビジネスモデルが崩壊したノーザンロック銀行がを買い取る民間企業は見つかりませんでした。取り付け騒ぎから5ヶ月を経た2月下旬になって、国有化が発表されました。既に中央銀行であるイングランド銀行からの融資額は、約250億ポンド(約5兆2700億円)に達しており、どこかの民間企業へ売却したところで、この金額の返済は困難となっていました。

サブプライム問題が発生する直前までは、どんなにリスクが高い商品であっても買い手が付くという状況にまでなっており、住宅ローンをどんどん証券化して資金を調達して、新しくバンバン貸し付けていました。もともとは、住宅ローン担保証券(RMBS or MBS)の市場は、新しく長期ローンで住宅が欲しい人の為に資金を融資する際に、民間金融機関が長期金利のリスクを負えないので、投資家にリスクを負って貰うというものでした。しかし、発行者は投資家にリスクを丸投げ出来る事に気がついて、どんどん住宅ローン担保債権を発行しまくりました。大手の金融機関が発行して、格付け会社もお墨付きを与えるので、投資家は喜んで買っていました。しかし、すぐに住宅ローンの返済が滞り初めて、誰もこの証券を喜んで買わなくなってしましました。

アメリカでは住宅ローン債券市場が発達しており、民間機関から住宅ローン債券を買い取って証券化して投資家に渡す役割として、1938年には既に連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)が設立され、1970年に連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が設立されました。7月22日にポールソン財務長官の講演によると、この2社だけで発行する債券や住宅ローン担保証券が総額5兆ドル(約530兆円)もあり、このうち1兆5000億ドル(約160兆円)超を海外の中央銀行や金融機関が保有しているとの事でした。

一方の日本は未だに古びた保障人制度がある事などから住宅ローン担保証券市場は未発達とされていましたが、それでも2006年に約5兆7000億円(住宅金融公庫が2兆4600億円、三菱東京UFJ銀行が1兆5900億円、三井住友銀行が5500億円)まで成長してきました。しかし、日本における住宅ローン担保証券市場が未発達であった事が幸いして、今回のサブプライムローンにおいて日本の金融市場が受けたダメージは、アメリカやイギリスなどと比較すると軽微と言えるレベルでした。

参考:住宅ローン政策
http://sumai.judanren.or.jp/seisaku/page03-6.html

海外金融セミナー
http://www.jhf.go.jp/about/kikou/kihou/pdf/h19/h19_05_3.pdf


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